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お稲荷さんに守られる名刹「慈眼院 小石川浄苑」(東京都文京区)

2016.11.22

キツネの巣があったと伝えられる祠。パワースポットとして人気がある

 今回お邪魔したのは東京都文京区にある慈眼院の「小石川浄苑」。このあたりは「小石川寺町」と呼ばれる寺院の集積地で、近くに徳川将軍家ゆかりの伝通院もあります。歴史と文化の街を楽しみながらのお墓参りはいかがでしょう。

人気パワースポット

参拝者らでにぎわう慈眼院の境内

春には境内で桜が楽しめる

 慈眼院は浄土宗の寺院ですが、境内に「澤蔵司(たくぞうす)稲荷」というお社が併設され、朱塗りの鳥居が立ち並んでいます。約400年前、伝通院で仏教を学び、わずか3年で習得した澤蔵司という修行僧がいました。その正体は実はキツネ。和尚の夢の中に現れ、「わたしは千代田城(江戸城)の稲荷大明神である。これから元の神に戻り、この寺を守護する。ついてはすみやかに社を建てるように」と告げて立ち去った、との言い伝えがあるのです。これを受けて、伝通院の別当寺として澤蔵司をおまつりしてきたのが慈眼院です。神仏習合だった時代の名残りですね。

 いまも商売繁盛などの御利益があるパワースポットとして多くの参拝者が訪れます。取材当日も地元ガイドに案内され、お社やキツネの巣があったとされる祠を見学する方々を見かけました。境内には大小のキツネ像や小さな祠も散在しており、不思議にかわいらしく、にぎやかな雰囲気でした。

 このほかにも江戸時代の火消にまつわる石碑や松尾芭蕉の句碑があったり、戦前、近くに花街があったころ、置屋が寄進した常夜灯が残っていたりと、小さな境内は見どころが満載です。

寺院墓地のメリット

新しく整地した墓地。東側の区画が人気という

現代風の墓石も目立つ

 そんな慈眼院が開山以来はじめて一般に墓地を公開したのは2年前。信者からの強い要望があったからだそうです。売り出し区画は160。これまでに成約した50件のうち3割は信者で、全体の半数は地元・小石川の住民です。「和」「絆」などの一文字が刻まれた洋型のお墓、承継者不安に配慮した「両家墓」…。由緒正しいお寺でありながら従来の形式に縛られない自由な雰囲気も印象的でした。

 お寺で墓地を持つことの一番のメリットは、しっかりした供養をお願いできるところではないでしょうか。お墓開きにはじまり、節目節目で僧侶による法要をきちんと行いたいという方には寺院墓地がおすすめです。逆に「お寺との付き合いは寄付や手伝いが大変」というイメージを持っている方もいるでしょう。こちらでは年間1万2000円の管理費以外、お布施や寄付、入檀料は一切なし。寺院のホームページには遠田弘賢住職のブログも掲載されているので、のぞいてみてはいかがでしょう。

歴史と文化の街

葵の御紋が目を引く伝通院の正面

 アクセスは都営三田線・大江戸線「春日駅」から徒歩8分。取材日は春日通りをあがってゆくルートを歩きましたが、さすがに歴史と文化の街、にぎやかです。3代将軍家光の乳母・春日局像、中央大学理工学部のキャンパス、東京都戦没者霊園が並び、ゆるやかな坂道もお散歩気分でした。東京メトロ「後楽園駅」からだと10分。

 いずれもアップダウンがあり、慈眼院敷地内も境内から墓地へ階段で移動しなければなりません。高齢の方は車のほうがよさそうです。寺院境内脇の駐車場は6台分あり、墓地横から車いすのまま入っていける駐車スペースも用意されています。また、こじんまりしたお寺なので法要の規模は限られます。お手洗いも本堂でお借りするか、境内の仮設トイレとなります。お花やお線香も準備が必要です。

 ちなみに、澤蔵司が修行中に好んで通ったという蕎麦屋さん「稲荷蕎麦 萬盛」がいまも近くで営業しています。毎日午前11時、お店の人が澤蔵司稲荷にその日の初茹で(初釜)のお蕎麦を供えます。「奉納」と書かれた朱塗りの箱に盛られると厳かな雰囲気に…。油揚げが添えられているのはお稲荷様ならではですね。

(村山玲子)



 村山玲子(むらやま・れいこ) 2000年入社の産経新聞記者。名古屋市生まれ。家族は夫と息子2人、金魚3匹。キリスト教徒だが、夫は曹洞宗の寺院に代々の墓を持つため、お墓をどうすればよいか個人的に検討中。行ってみたい聖地はリトアニアの十字架の丘。好きな食べ物はパクチー。


     
  • キツネの巣があったと伝えられる祠。パワースポットとして人気がある
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  • 参拝者らでにぎわう慈眼院の境内
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  • 春には境内で桜が楽しめる
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  • 新しく整地した墓地。東側の区画が人気という
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  • 現代風の墓石も目立つ
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  • 葵の御紋が目を引く伝通院の正面
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  • 澤蔵司稲荷は参拝者が絶えない
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  • 墓地内はバリアフリーのため水桶も楽に運べる
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  • 小石川の地名にちなんだ松尾芭蕉の句碑 
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  • 赤い塗りが美しいお供えの器。お店で同じ蕎麦が食べられる

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